梅酒を漬けるのは違法?知って納得、お酒作りにまつわる法律のQ&A

A collection of colorful homemade jams and sauces in jars with decorative lids displayed with pinecones. Uncategorized
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梅の季節になると、スーパーの入り口にホワイトリカーの瓶がずらりと並びます。氷砂糖と青梅を買い込んで、家で梅酒を仕込む。毎年の恒例行事にしている人も多いはずです。

でも、あれって実は「お酒を作る」行為だと知っていましたか。酒税法という法律のもとでは、家庭で梅酒を漬けることは本来なら許可が必要な行為に当たります。ただし例外があるから、私たちは普通に梅酒を仕込めているんです。このあたりのルール、意外とちゃんと説明できる人が少ないので、Q&A形式で整理してみます。

梅酒を漬けるのは実は「お酒を作る」行為だった

結論から言うと、家庭での梅酒作りは酒税法上「酒類の製造」に該当しますが、一定の条件を満たせば例外的に認められています。無許可でやっても捕まらないのは、法律がわざわざ抜け道を用意してくれているからです。

酒税法では、アルコール分1度以上の飲料を作る行為は原則として製造免許が必要とされています。梅とホワイトリカーを合わせて数週間置くと、梅の糖分とアルコールが混ざり合って、立派な「酒類」になります。これを個人が自由に作れてしまうと、税金の管理ができなくなってしまう。だから本来は免許制なんです。

ただし、家庭で自分や家族が飲む分だけ、既に度数の高い酒を使って混ぜ物をする場合に限っては、免許なしでの製造が認められています。梅酒はまさにこのパターンです。ホワイトリカー35度に梅と氷砂糖を入れる。これだけなら問題ありません。台所のシンク下に去年の梅酒がまだ残っている、という状況もよくある話ですが、それ自体は法律的には何の問題もない状態です。

迷いやすいのは「どこまでが自家製の範囲か」という点です。梅だけでなく、りんごや柑橘、生姜などを漬け込む自家製果実酒も同じ扱いになります。ただし、米や麦、ぶどうなど、酒税法上「特定の酒類の原料になりやすい」とされる素材は対象外です。ここは知らずにやってしまう人がいるところなので、次の見出しで詳しく説明します。

なぜホワイトリカーならよくて、日本酒はダメなのか

ベースにするお酒のアルコール度数が20度以上であることが条件で、これを下回るとアウトになります。ホワイトリカーは35度前後なので問題なし。日本酒やビールをベースに果実酒を作るのは、たとえ自分で飲むためであっても法律違反になります。

理由は「再発酵」のリスクです。度数の低いお酒に果物を漬けると、果物に付着している酵母が働いて、糖分からアルコールが新たに生成されることがあります。これは単なる「混ぜ物」ではなく「新しく酒を造る」行為とみなされてしまう。度数が高いお酒であれば、アルコールの殺菌作用で酵母が働きにくく、再発酵が起きにくいとされています。だから20度という基準が引かれているわけです。

具体的な場面で考えてみましょう。友人が「日本酒に梅を漬けるとまろやかになるらしいよ」とSNSで見た方法を試そうとしたとします。悪気はなくても、これは酒税法に触れる可能性がある行為です。同じ梅酒でも、ベースの酒によって合法・違法が分かれるというのは、意外と知られていません。

例外として、みりんや料理酒のような「酒類だけど飲用が主目的ではない」ものについては、また別の扱いになる場合があります。このあたりは細かい線引きがあって、一般家庭では気にしすぎる必要はないのですが、ベースを選ぶときは度数表示を一度確認しておくと安心です。ラベルの隅にある「アルコール分〇%」の表示、意外と見ていない人が多いんですよね。

作った梅酒を人にあげるのは問題ある?

無償で家族や友人に少し分けるくらいなら、実務上トラブルになることはほとんどありません。ただし、販売や継続的な譲渡は別の話になります。

酒税法が想定している「家庭での自家製酒」は、あくまで自己消費の範囲内という前提があります。お中元代わりに手作りの梅酒を瓶に詰めて渡す、という光景はよく見かけますが、これは厳密に言えばグレーゾーンです。法律の建前としては、免許なしで製造した酒を他人に譲渡することは想定されていません。

とはいえ、実際に近所付き合いで少量を分ける程度のことが問題視された例は聞いたことがありません。ここは正直、書き手としても線引きが難しいところだと感じます。法律の条文どおりに厳格に考えれば譲渡もアウトですが、社会通念上は「おすそ分け」の範囲として黙認されている、というのが実情に近いでしょう。

一方で、これがフリマアプリでの販売や、バザーでの有償頒布になると話は変わります。お金のやり取りが発生する時点で、明確に酒税法上の「販売」となり、免許のない製造・販売は取り締まりの対象になり得ます。手作りの梅酒を「1本500円で」と売るのは、善意のつもりでも法律的にはアウトです。ここは絶対に避けたほうがいい線引きです。

どぶろくや自家製甘酒は法律に触れないのか

米を発酵させて作るどぶろくは、原則として酒税法違反になります。甘酒については、アルコール分が生じていなければ対象外です。同じ「発酵食品」でも扱いがまったく違うのが面白いところです。

どぶろくは米と麹と水を発酵させて作る、いわば日本酒の原型のようなものです。これは梅酒のような「混ぜるだけ」の製造とは違い、ゼロからアルコールを生成する本格的な醸造行為にあたります。ここには例外の余地がほとんどなく、個人が自宅で仕込むことは基本的に認められていません。地域おこしの一環として自治体が特区を設け、条件付きで製造を許可している事例はありますが、それはあくまで特別な仕組みの中での話です。

甘酒は米麹だけで作るタイプであれば、通常アルコール分はほぼ発生しません。だから酒税法の対象外で、子どもや妊娠中の人も安心して飲めるとされています。ただし、酒粕を使ったタイプの甘酒は微量のアルコールを含むことがありますし、米麹タイプでも仕込んだ容器を暖かい場所に長時間放置すると、想定外の発酵が進んでアルコール分が上がってしまうことがあります。

「うちの甘酒、ちょっと発酵が進みすぎて酸っぱいというかピリッとする」と感じたことがある人、いませんか。それは雑菌の仕業のこともありますが、酵母が働いてアルコールが生まれかけているサインの可能性もあります。毎日味見して、様子がおかしいと思ったら早めに冷蔵庫に移す。これが安全にもルール順守にもつながります。

飲食店の「自家製梅酒」はなぜ特別なのか

飲食店がメニューに載せる「自家製梅酒」は、家庭での自家製とは別の扱いを受けます。家庭用の特例がそのまま店舗にも適用されるわけではありません。

家庭で梅酒を作る際の特例は、あくまで「個人が自分や家族のために消費する」ことが前提になっています。飲食店が客に提供する場合、これは営業行為であり、酒類を製造して不特定多数に提供していると見なされます。そのため、原則として酒類製造免許が必要になります。

ただし実際には、多くの飲食店が税務署に届け出た上で、一定の条件のもとで「みなし製造」として自家製の果実酒を提供しています。既に販売免許を持つ酒類とホワイトリカーなど度数の高い酒をベースに、店内で漬け込む場合に限り、届け出だけで対応できる仕組みがあるからです。居酒屋のカウンターに大きな瓶で梅酒が漬けてあるのを見たことがある人も多いと思いますが、あれは無許可でやっているわけではなく、届け出を済ませた上での提供なんです。

ここで迷いやすいのは、店が「うちで漬けた特製カクテル」として、日本酒やワインをベースにした果実酒を出しているケースです。これは家庭での特例と同じ理由で、度数が低い酒をベースにすると製造免許そのものが必要になる可能性があります。真面目にやっている店ほど、このあたりの届け出をきちんと確認しているものです。逆に言えば、メニューの端に小さく書かれた「自家製」の文字の裏には、意外と細かい手続きが隠れているということです。

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